そもそも「切削」とは

切削とは、加工物より硬度・靭性の高い工具を用い、回転運動と送りによって対象物を除去する加工方法です。

旋盤の場合、回っているのはワーク(材料)のほうで、工具(チップ)が送られていきます。つまり「削り方を決める」というのは、次の3つを決めることです。

このうち V と F には、材料とチップで決まる「守るべき値」があります。まずそこから見ていきます。

1. 切削速度と回転数 ─ 覚えるのは1本の式だけ

工具メーカーのカタログに載っているのは切削速度 V(m/min)です。一方、機械に打ち込むのは主軸回転数 N(min-1)。この2つは加工径で結ばれています。

N = 318 × V ÷ D
V = 切削速度(m/min) / N = 回転数(min-1) / D = 加工径(旋削) ・ 工具径(ドリル・エンドミル)(mm)

318 という数字は 1000 ÷ π のことです。難しく考えず、この形のまま覚えてしまって構いません。

たとえば鋼をØ50で削るとします。カタログの推奨が V=160 なら——

N = 318 × 160 ÷ 50 = 1017.6  →  S1000 くらい
ここが大事

切削速度は径が変われば回転数も変わるということです。同じ S1000 でも、Ø50 を削るときと Ø20 を削るときではチップに当たっている速さが 2.5 倍違います。端面を中心まで削っていくと音が変わるのは、これが理由です。

径ごとの回転数は、周速・回転数 計算機でその場で出せます。

2. 送り F ─ 面のきれいさは、ほぼここで決まる

旋盤の送り F1回転あたり何mm進むか(mm/rev)です。この値がそのまま仕上がり面の粗さになります。現場で使っている目安がこちらです。

F値(mm/rev)仕上げ記号RmaxRzRa
F0.07▽▽▽6.3S6.3Z1.6a
F0.14▽▽25S25Z6.3a
F0.28100S100Z25a
特に規定しない

Rmax・Rz・Ra は同じ粗さを別のものさしで表したものです。図面に Ra1.6 と書いてあれば仕上げは F0.07 前後から始める、という読み方をします。

理論上の粗さは、送り f とチップのノーズR から次のように出せます。

Rz ≒ f² ÷ (8 × R) × 1000  [µm]

  例) f = 0.14、R = 0.4
      0.0196 ÷ 3.2 × 1000 ≒ 6.1 µm
補足

実際にはビビり・構成刃先・工具摩耗で理論値より粗くなります。上の表はそのぶんを見込んで安全側に取ってあります。理論式のほうは「ノーズRを大きくすれば、同じ送りでも面が良くなる」という関係をつかむために使ってください。

3. 被削材による切削速度の目安

同じチップでも、削る材料が変われば速度はまるで違います。超硬チップを使ったときの基準値です。

被削材チップ種別切削速度 V(m/min)
P種160
鋳物K種200
アルミ(非鉄)N種300
ステンレスM種40

注目してほしいのはステンレスの 40 です。鋼の 1/4 しかありません。ステンレスは熱が逃げにくく加工硬化するため、速く回すと一気にチップが負けます。「ステンレスだけは回しすぎない」——これだけは最初に体に入れておいてください。

P・K・M・N というアルファベットは ISO の材種区分で、チップの箱に必ず書いてあります。削る材料の区分とチップの区分を合わせるのが基本です。

4. 工具の材種による切削速度の目安

今度は工具側から見た表です。数字はチップでの旋削のものですが、考え方はドリル・エンドミルでも同じです。

工具材種被削材切削速度 V(m/min)
ハイス何でもOK10 – 40
サーメット何でもOK60 – 180
超硬被削材により使い分ける40 – 400

ハイスは遅い代わりに何でも削れて、刃先も自分で研げます。サーメットは仕上げ面がきれいに出ます。超硬は速く削れますが、材種を選び間違えるとあっという間に欠けます。だから 3. の表と必ずセットで見ます。

旋盤とフライス・ドリルの違い

1.〜4. の話は、そのままドリルやエンドミルにも当てはまります。違うのは回るのが工具か、ワークかだけです。旋盤はワークが回るので D は加工径、ドリル・エンドミルは工具が回るので D は工具径。入れる値が変わるだけで、N = 318 × V ÷ D も、材料と材種で V が決まることも、まったく同じです。

ここが大事

1.〜4. をまとめると、削り方を決める手順はいつも同じです。
①材料を見る → ②合うチップを選ぶ → ③そのチップの V を決める → ④加工径 D から N を計算する → ⑤図面の粗さから F を決める
この順番さえ崩さなければ、初めての材料でも大きくは外しません。

5. 段取りの流れ ─ 外段取りと内段取り

速度と送りが決まっても、それだけでは部品はできません。実際の仕事は機械を止めずに進められる準備(外段取り)と、機械を止めて行う作業(内段取り)に分かれます。ここを意識できるかどうかで1日の生産数が変わります。

外段取り 現在の加工品が終わる前に、具体的な数値まで決めておく。計画には十分な時間をかけてよい工程です。
1
加工図面の検討 無理のない加工方法で作れるか。チャッキングの方法と圧を適切に設定できるか。
2
工具の選定 素材の材質・形状に合わせて工具を選ぶ。要求精度を保証できるかを検証する。
3
プログラム作成 チャック圧・回転速度・切込み量・送りのバランスが取れたプログラムを作る。分かりやすく正確に書く。
4
爪の成型 加工中にワークが動かないこと。長手方向の突き当ては大径側で取る。径側は6点当たり、または面当たりにする。
5
実加工用工具の取り付け ここまでを、前の品物が流れているあいだに終わらせておく。
内段取り 計画したものを実作業に移す段階。機械が止まっている時間なので、作業のスムーズさを最優先します。
6
原点設定・工具形状補正 ワーク原点と、各工具の形状補正値を入れる。
7
空運転(プログラムチェック) 削らずに動かして、干渉と経路を確かめる。
8
テストカット 1個削って測る。寸法を追い込む。
9
量産 ここでようやく数が流れはじめる。
段取りのコツ

止まっている機械は1円も生みません。1〜5を前の品物が流れているあいだに終わらせ、6〜9をいかに短くするか——段取りの上手い下手は、突きつめるとこの一点です。

この基本を、現場の全員がやれるようにする

ここまでは、どんな現場でも変わらない基本です。問題は、この順番を最後まで確かめられるのが、経験のある人だけだということでした。空運転で気づく、テストカットで気づく、ぶつけて気づく——確かめる手段が、機械の前にしか無かったからです。

LATHE-NC を使うと、その「確かめる場所」が、機械の前から画面の中へ移ります

はじめてでも、順番に埋めるだけ

シートが ① GRID から ⑦ Gcode まで番号順に並びます。次に何を決めればいいのかを、人に聞かなくて済みます。

削る前に、3Dで当たりが見える

全工程を通しで再生します。前の工程で削り終わった形が次の素材になるので、工程順による当たり・削り残しが、機械にかける前に分かります。

ぶつかる手前で、勝手に止まる

早送りが素材に入る・工具が削り上がりの形に食い込む、を検出すると再生が止まり、その場所を教えます。実機でぶつける前に気づけます。

ノーズR補正は、選ぶだけ

使うチップを選べば補正の計算は自動で入ります。テーパーやR面で寸法が合わない原因が、ひとつ消えます。

空運転が、外段取りに移る

経路の確認に機械を止める必要がなくなります。段取りの 6〜9 を短くする、まさにその一点です。

インストール不要。スマホで動く

ブラウザだけで動きます。現場に持ち込むのに、許可も設定もインストールも要りません。β版は無料です。

はじめての人でも、同じ順番で、同じ結果にたどり着ける。現場の作業者全員が、CAMオペレーターになれる。

削る前に、スマホで3Dを見てから。

インストール不要・ブラウザで動く旋盤CAMです。β版は無料で試せます。